売却の基礎知識 不動産売却の流れ完全ガイド|7ステップで宅建士がやさしく解説
「不動産を売りたいけど、何から始めればいいの?」
「全体の流れが分からなくて不安…」
「プロに相談する前に、自分でもざっくり把握しておきたい」
不動産売却がはじめての方は、誰もが感じる悩みです。
数千万円規模の取引なので、全体像を知らずに業者の言いなりで進めると、大きな損をする可能性 があります。
この記事では、宅建士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つ筆者が、専門用語をできるだけ使わずに 不動産売却の流れを解説します。読み終える頃には、次に何をすべきか がはっきり見えるはずです。
結論:不動産売却は「7ステップ」で進む
不動産売却の全体像は、シンプルに言うとこの7つのステップです。
✓ 不動産売却の全体像(7ステップ)
- ✓ Step 1:相場を自分で調べる
- ✓ Step 2:査定を依頼する(無料)
- ✓ Step 3:媒介契約を結ぶ(売却を任せる契約)
- ✓ Step 4:売却活動・内覧対応
- ✓ Step 5:売買契約を結ぶ(買主決定)
- ✓ Step 6:決済・引き渡し
- ✓ Step 7:確定申告(翌年)
この記事では、各ステップを やさしい言葉でひとつずつ 解説していきます。
全体の所要期間は 3〜6ヶ月 が一般的。焦らず計画的に進めましょう。
売却前に知っておきたい「3つの心構え」
ステップに入る前に、初心者がつまずきやすいポイントを3つだけお伝えします。
心構え1:必ず複数社で査定する
1社だけの査定では「相場感」が分かりません。最低3社、できれば4〜5社 で査定を取って比較しましょう。
業者によっては査定額に 200万円以上の差 が出ることもあります。
心構え2:査定額が一番高い業者 = 一番良い業者ではない
中には「とにかく媒介契約を取りたい」だけで、相場より高い査定額を出してくる業者もいます。後から「思ったより反響がない」と値下げを求められるパターンです。
心構え3:売却完了まで3〜6ヶ月かかる
「明日売れる」ことはまずありません。最低3ヶ月 は見ておきましょう。引っ越しスケジュールがある場合は、逆算して動き始めるのが大切です。
Step 1:相場を自分で調べる
最初にやるべきは「自分の物件の相場感を掴む こと」です。査定を依頼する前に、 自分でも調べておくこと が、業者の言いなりにならないコツです。
相場を調べる方法(3つ)
| 方法 | 調べるサイト | 特徴 |
|---|---|---|
| 1. ポータルサイト検索 | SUUMO・LIFULL HOME’S・アットホーム | 売り出し中の類似物件価格が分かる |
| 2. 過去の成約事例 | 不動産取引価格情報検索(国交省) | 実際に取引された価格が分かる |
| 3. AI査定ツール | おうちクラベルなど | 入力情報からAIが瞬時に算出 |
ポイントは 「売り出し価格」と「成約価格」は違う ということ。
💡 知っておきたい用語の違い
売り出し価格:最初にポータルサイトに出す値段
成約価格:実際に売れた値段
売り出し価格は成約価格より 100〜300万円高い ことが一般的です。
この段階のゴール
「自分の物件は だいたい○○万円〜○○万円 くらいだな」という ざっくりした相場感 を持つこと。
これがあると、Step 2の査定で「業者の査定額が妥当か」を判断できます。
Step 2:査定を依頼する(無料)
相場感を掴んだら、次は実際に 不動産会社に査定を依頼 します。
査定には2種類ある
| 種類 | 内容 | 所要時間 | 精度 |
|---|---|---|---|
| 机上査定(簡易査定) | 物件情報のみで概算を算出 | 1〜3営業日 | △ |
| 訪問査定 | 実際に物件を見て詳細に算出 | 1〜2週間 | ◎ |
はじめは机上査定で複数社を比較し、絞り込んでから訪問査定 が王道の流れです。
一括査定サービスを使うメリット
1社ずつ問い合わせるのは大変なので、 一括査定サービス を使うと効率的です。
- ✅ 1回の入力で複数社にまとめて依頼可能
- ✅ 完全無料
- ✅ 自宅にいながらスマホで完結
おすすめのサービスは 不動産売却・査定サービス比較ランキング にまとめています。
無料で複数社の査定額を比較する →査定依頼時のコツ
- 物件情報は正確に(築年数・面積・階数など)
- 3〜5社に絞る(多すぎると対応しきれない)
- 連絡手段の希望を伝える(電話 or メール)
Step 3:媒介契約を結ぶ
「この業者にお願いしよう」と決まったら、 媒介契約(ばいかいけいやく) を結びます。
媒介契約とは?
「売却活動をその不動産会社にお願いします」という契約のことです。
媒介契約には 3種類 あります。それぞれメリット・デメリットが違うので、慎重に選びましょう。
3種類の媒介契約
| 種類 | 複数社と契約 | 自己発見取引(自分で買主を見つける) | 報告義務 | レインズ登録 |
|---|---|---|---|---|
| 専属専任媒介 | ❌ | ❌ | 1週間に1回以上 | 5日以内 |
| 専任媒介 | ❌ | ⭕️ | 2週間に1回以上 | 7日以内 |
| 一般媒介 | ⭕️ | ⭕️ | なし | 任意 |
レインズ: 不動産会社しか見られない物件情報のデータベース。登録すると業界内に物件情報が共有されます。
どれを選ぶべき?
| こんな方に | おすすめ |
|---|---|
| はじめて売却で、信頼できる1社に任せたい | 専任媒介(一番バランスが良い) |
| 完全に1社に任せて手厚いサポートを受けたい | 専属専任媒介 |
| 複数社に競わせたい・自分でも買主を探したい | 一般媒介 |
初心者には専任媒介がおすすめ です。1社に集中するため担当者の本気度が違いますし、自分で買主を見つけた場合も対応できます。
詳しい比較は 媒介契約3種類はどれを選ぶ?宅建士が初心者向けに比較解説 でまとめています。
Step 4:売却活動・内覧対応
媒介契約を結ぶと、不動産会社が 売却活動 を始めます。
不動産会社がやること
- ポータルサイト(SUUMO等)への掲載
- レインズへの登録
- チラシ配布・店頭掲示
- 顧客リストへの紹介
売主(あなた)の関わり方は「2パターン」
物件の状態によって、売主のやることが大きく変わります。
| パターン | 物件の状態 | 売主の関わり |
|---|---|---|
| A. 居住中売却 | 自分が住みながら売却 | 内覧立ち会い・整理整頓が必要 |
| B. 空室売却 | すでに引っ越し済み・空き家・相続物件 | 鍵を業者に預けて任せられる |
パターンA:居住中売却の場合
やること1:物件を「魅せる」状態にする
- 室内の片付け・掃除
- 不要物の処分
- 簡単な補修(壁紙の汚れなど)
やること2:内覧に対応する
買主候補が現地を見学する 内覧(ないらん) に立ち会います。
内覧成功の5つのコツ(居住中の方向け)
- ✓ 明るい時間帯(日曜の午前など)に設定する
- ✓ 玄関と水回り(キッチン・トイレ・浴室)を特に綺麗に
- ✓ 換気して匂いを取る(特にペット・タバコ)
- ✓ 聞かれたら正直に答える(嘘はバレる)
- ✓ 売却理由は「住み替え」など前向きな理由で
パターンB:空室売却の場合
やること1:簡単なクリーニング(任意)
- ハウスクリーニング業者に依頼(5〜10万円)
- そのままでも売却は可能
やること2:鍵を不動産会社に預ける
「キーボックス」を玄関に設置するなどして、 不動産会社が単独で内覧対応 できる状態にします。
売主は内覧に立ち会わなくてOK。仕事や遠方でも売却を進められます。
空室売却で気をつけるポイント
| 注意点 | 対策 |
|---|---|
| 生活感がなく寒々しい印象に | カーテンを残す・最低限の家具を残す |
| 内覧者に「何か問題があって空けた」と思われる | 売却理由を明確に伝えてもらう |
| 遠方の場合、トラブル時の対応が遅れる | 信頼できる業者と契約する |
Step 5:売買契約を結ぶ
買主が決まったら、 売買契約 を結びます。
売買契約のタイミング
通常、買主から 「買付証明書(買付申込書)」 が出されてから、 1週間〜2週間以内 に契約します。
売買契約で必要なこと
- 重要事項説明(宅建士からの説明を受ける)
- 売買契約書への署名・捺印
- 手付金の受領(売却価格の 5〜10% が一般的)
知っておくべき「契約不適合責任」
売却後に、物件に 隠れた欠陥(雨漏り・シロアリなど) が見つかった場合、売主が修補や減額の責任を負うことがあります。
これを 契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん) と言います。
知っている欠陥は 必ず事前に告知 しましょう。隠して契約すると後でトラブルになります。
Step 6:決済・引き渡し
売買契約から 約1〜2ヶ月後、いよいよ決済・引き渡しです。
決済日にやること
| やること | 内容 |
|---|---|
| 1. 代金受領 | 買主から残代金を受け取る |
| 2. 鍵の引き渡し | 物件の鍵を買主に渡す |
| 3. 抵当権抹消 | 住宅ローンが残っている場合、ローン完済 + 抵当権抹消 |
| 4. 所有権移転登記 | 司法書士が手続き(同日に完了) |
| 5. 各種精算 | 固定資産税・管理費の日割り精算 |
抵当権抹消とは?
住宅ローンを使っている場合、銀行が物件に 抵当権(ていとうけん) をつけています。
抵当権 = 「ローンを払えなくなったら物件を差し押さえる権利」
これを残したままでは買主に売れないので、決済日に ローン完済 → 抵当権抹消 の手続きを同時に行います。
Step 7:確定申告(翌年)
売却後、 翌年の2/16〜3/15 に確定申告が必要な場合があります。
確定申告が必要なケース
| ケース | 必要 / 不要 |
|---|---|
| 売却益が出た(譲渡所得がプラス) | 必要 |
| 売却損が出た(譲渡所得がマイナス) | 任意(特例で還付の可能性あり) |
| 3000万円特別控除を使いたい | 必要 |
譲渡所得税の計算式(ざっくり)
🧮 譲渡所得税の計算
譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
税金 = 譲渡所得 × 税率
3000万円特別控除(マイホーム売却の特例)
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、 3,000万円までの売却益が非課税 になる特例があります。
多くの方はこの特例で 税金がゼロ になります。ただし申告は必要なので忘れずに。
詳しい計算方法は 不動産売却にかかる税金まとめ で解説しています。
不動産売却にかかる「期間」の目安
全体の所要期間をまとめると以下の通りです。
| ステップ | 期間 |
|---|---|
| Step 1:相場調査 | 1〜2週間 |
| Step 2:査定依頼 | 1〜2週間 |
| Step 3:媒介契約 | 〜1週間 |
| Step 4:売却活動 | 1〜3ヶ月(最も長い) |
| Step 5:売買契約 | 〜2週間 |
| Step 6:決済・引き渡し | 1〜2ヶ月後 |
| Step 7:確定申告 | 翌年 |
合計:3〜6ヶ月程度
引っ越し時期が決まっている方は、最低でも 6ヶ月前から動く のが安全です。
不動産売却にかかる「費用」の目安
売主が負担する主な費用です。
| 費用 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格の3% + 6万円 + 消費税 | 上限額・売主負担 |
| 印紙税 | 1万円〜6万円 | 売買契約書に貼る |
| 抵当権抹消費用 | 1〜2万円 | ローンがある場合 |
| 司法書士報酬 | 1〜2万円 | 抵当権抹消の代行 |
| ハウスクリーニング | 5〜10万円 | 任意 |
例:3,000万円の物件なら、仲介手数料は 約105.6万円(3% + 6万円 + 消費税)
売却に必要な書類
最低限必要な書類のリストです。
マンションの場合
- 登記識別情報(権利証)
- 印鑑証明書
- 固定資産税納税通知書
- 物件状況報告書
- 付帯設備表
- 管理規約・使用細則
- 重要事項調査報告書
戸建ての場合
- 登記識別情報(権利証)
- 印鑑証明書
- 固定資産税納税通知書
- 物件状況報告書
- 付帯設備表
- 重要事項調査報告書
- 建築確認済証
- 検査済証
- 建築設計図書
- 境界確認書 これらの書類があるとよりスムーズに売却を進めることができます。
詳しい書類リストと入手方法は 別記事で解説予定。
やってはいけない「失敗例」3つ
最後に、 絶対に避けたい失敗例 を3つだけご紹介します。
失敗1:1社だけで査定して相場を知らずに売る
→ 適正価格より 数百万円安く 売ってしまうケース。
対策:必ず3社以上で査定を取る
失敗2:査定額が高い業者にすぐ飛びつく
→ 後から値下げを求められて、結局 長期化&値下げ のケース。
対策:査定額の根拠を確認し、相場と照らし合わせる
失敗3:契約不適合責任を知らずに欠陥を隠す
→ 売却後に 損害賠償・契約解除 のトラブルになるケース。
対策:知っている欠陥は必ず事前に告知
失敗例の詳細は 不動産売却で後悔する失敗例10選|宅建士が教える回避策 でまとめています。
まとめ:次に何をすればいい?
不動産売却の全7ステップを振り返りましょう。
✓ 不動産売却の全体像
- ✓ Step 1:相場を自分で調べる(1〜2週間)
- ✓ Step 2:査定を依頼する(無料・複数社で比較)
- ✓ Step 3:媒介契約を結ぶ(初心者は専任媒介)
- ✓ Step 4:売却活動・内覧対応
- ✓ Step 5:売買契約を結ぶ
- ✓ Step 6:決済・引き渡し
- ✓ Step 7:確定申告(翌年)
「次にやること」は明確です
✨ 今日からできること
Step 1(相場調査)と Step 2(一括査定)は、今この瞬間からでも始められます。
どちらも無料・スマホで完結します。
不動産売却で一番もったいないのは「動かないこと」。1ヶ月の判断遅れが、相場下落で 100万円以上の損失 につながることもあります。
まずは 無料の一括査定で相場感を掴む ところから始めてみましょう。
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