税金・費用 譲渡所得税の計算方法を実例で解説|宅建士が初心者向けに完全ガイド
「家を売ったら税金はいくら?」
「譲渡所得税の計算方法が分からない…」
「3,000万円控除って自分も使えるの?」
不動産売却を検討中の方が必ずぶつかる 「譲渡所得税」の悩み 。
数千万円の取引なので、税金の知識を間違えると 数百万円の損 をする可能性も。逆に特例を使えば 税金ゼロ になるケースが多いのも事実です。
この記事では、宅建士・賃貸不動産経営管理士の資格を持つ筆者が、 譲渡所得税の計算方法を実例つき でやさしく解説します。
結論:マイホーム売却の多くは「税金ゼロ」
時間がない方のために結論を。
✓ 譲渡所得税の3つのポイント
- ✓ 譲渡所得税は『売却益が出たときだけ』かかる税金
- ✓ マイホーム売却なら『3,000万円特別控除』で多くの方は税金ゼロ
- ✓ 確定申告は売却した翌年2〜3月に必要(特例適用には申告必須)
つまり多くの方は実質非課税ですが、 確定申告だけは必要 ということです。
まずは無料査定で売却益を試算 →譲渡所得税の基本式
譲渡所得税は次の3ステップで計算します。
【ステップ1】譲渡所得を計算
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
【ステップ2】特別控除を引く
課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除(最大3,000万円)
【ステップ3】税率をかける
譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 税率
税率は「所有期間」で変わる
| 所有期間 | 税率 |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡) | 39.63%(所得税30%+復興税0.63%+住民税9%) |
| 5年超(長期譲渡) | 20.315%(所得税15%+復興税0.315%+住民税5%) |
| 10年超のマイホーム | 軽減税率:14.21%(6,000万円以下部分) |
所有期間は 「売却年の1月1日時点」 で判定されます。
計算ステップ① 譲渡所得を出す
取得費の計算
取得費は 「物件購入時の費用」 から減価償却を引いた金額。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入時の物件価格 | 売買契約書で確認 |
| 仲介手数料(購入時) | 領収書・契約書 |
| 購入時の登記費用 | 司法書士からの請求書 |
| 不動産取得税 | 納税通知書 |
| リフォーム費用(資本的支出) | 領収書 |
取得費が不明な場合は 売却額の5% を概算取得費にできます(「概算取得費」と呼びます)。
譲渡費用の例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料(売却時) | 売却額×3%+6万円+消費税 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付 |
| 立退料 | 賃貸の場合 |
| 解体費用 | 更地で売る場合 |
| 測量費 | 土地の境界確定 |
計算ステップ② 特別控除を引く
3,000万円特別控除(マイホーム)
自分が住んでいた家を売却すると、譲渡所得から 最大3,000万円が控除 されます。
✓ 3,000万円控除の主な要件
- ✓ 自分が住んでいた家であること(投資物件NG)
- ✓ 売却年の1月1日から過去3年以内の住居も対象
- ✓ 親族間売買は対象外
- ✓ 前年・前々年に同特例を使っていない
- ✓ 売却年から3年は買い替え特例と併用不可
その他の主な特別控除
| 特例 | 控除額 |
|---|---|
| 被相続人居住用財産の3,000万円控除(空き家特例) | 最大3,000万円 |
| 公共事業による収用 | 最大5,000万円 |
| 特定土地区画整理事業による譲渡 | 最大2,000万円 |
詳しくは 3,000万円特別控除を徹底解説 もご覧ください。
計算ステップ③ 税率をかける
短期譲渡(5年以下)
譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 39.63%
長期譲渡(5年超)
譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 20.315%
10年超のマイホーム軽減税率
| 課税譲渡所得 | 税率 |
|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 14.21% |
| 6,000万円超の部分 | 20.315% |
実例で計算してみる
実例1:マイホーム売却(3,000万円控除)
前提:
- 購入価格:3,500万円(10年前)
- 売却価格:4,000万円
- 仲介手数料(売却時):126万円
計算:
譲渡所得 = 4,000 − (3,500 + 126) = 374万円
課税譲渡所得 = 374 − 3,000 = 0円(控除内に収まる)
譲渡所得税 = 0円
→ 税金ゼロ !ただし確定申告は必要。
実例2:投資用マンション売却(短期譲渡)
前提:
- 購入価格:3,000万円(3年前)
- 売却価格:3,500万円
- 仲介手数料:116万円
計算:
譲渡所得 = 3,500 − (3,000 + 116) = 384万円
※特別控除なし
譲渡所得税 = 384 × 39.63% ≈ 152万円
→ 約152万円 の税金。3年以下の短期譲渡は税率が高い。
実例3:相続した実家を売却(空き家特例)
前提:
- 取得費不明(築30年・親が建てた家)
- 売却価格:2,000万円
- 仲介手数料・解体費:250万円
計算:
取得費 = 2,000 × 5% = 100万円(概算取得費)
譲渡所得 = 2,000 − (100 + 250) = 1,650万円
課税譲渡所得 = 1,650 − 3,000 = 0円(空き家特例で控除)
譲渡所得税 = 0円
→ 税金ゼロ (空き家特例の要件を満たす場合)
詳しくは 相続した実家を売却する完全ガイド もあわせてご覧ください。
確定申告のスケジュール
- 1 売却年12月 必要書類の準備(売買契約書・領収書) 目安: 1ヶ月
- 2 翌年1月 確定申告書類の作成 目安: 1〜2週間
- 3 翌年2月16日〜3月15日 税務署に確定申告書を提出 目安: 申告期間
- 4 翌年3月15日 譲渡所得税の納付期限 目安: 当日
- 5 翌年6月 住民税の特別徴収開始 目安: 5月通知
💡 確定申告は必須
特例(3,000万円控除等)を使う場合、 必ず確定申告 が必要です。申告しないと特例は適用されず、思わぬ税負担になります。
譲渡所得税のよくある誤解
誤解1:「売却額の◯%が税金」と思っている
譲渡所得税は 売却益(利益) に対してかかります。売却額そのものではありません。
誤解2:「マイホームなら税金ゼロ」と思って申告しない
3,000万円控除は 確定申告して初めて適用 されます。申告しないと税金がかかったまま。
誤解3:「住民税は別」と忘れている
譲渡所得税の中には住民税(5%または9%)も含まれます。翌年の住民税で別途支払う形になります。
まとめ:マイホーム売却なら多くは税金ゼロ
譲渡所得税は 「売却益が出たときだけ」かかる税金 。
特例を使えば多くの方は実質ゼロですが、 確定申告は必須 です。
✓ 今日からやるべきアクション
- ✓ 購入時の売買契約書・領収書を確認(取得費の証拠)
- ✓ 売却益が出そうかざっくり計算
- ✓ 3,000万円控除の要件を確認
不動産売却の税金全体は 不動産売却にかかる税金まとめ、控除の詳細は 3,000万円特別控除を徹底解説 もあわせてご覧ください。